建築基準法の一部を改正する法律
改定のポイント

右 建築確認・検査の民間開放

 建築確認・検査事務は、これまで地方公共団体の建築主事のみが行ってきたが、これを、建築主事に加え新たに必要な審査能力を備える公正中立な民間機関が行うことができるものとする。
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[参考データ]
平成8年度(全国ベース)
建築主事数:約1,800人 建築確認件数:約110万件 マ 一人当たり約600件

[民間開放の考え方]
○指定確認機関にあっては、建築主のニーズに即した建築確認・検査サービスを提供できるものとする。
○指定確認期間の活用に伴い、行政は、監査、違反是正、処分等の間接コントロールを中心にすることによって、制度の実効性を確保する。

[指定確認機関による適正な業務執行の確保のための措置]
○建築主事資格者の配置
○指定確認機関に対する特定行政庁の指示・取消権
○兼業の制限、役・職員の構成の基準

右 建築基準の性能規定化等建築基準体系の見直し

 特定の工法、材料、寸法等の仕様による規制を中心とする従来の方式から、一定の性能さえ満たせば多様な材料、設備、構造方法を採用できる規制方式を導入することにより、技術開発の促進や海外資材・部品の円滑な導入、建築コストの低減等に資するものとする。
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建築技術の進展、国際標準規格との調和

[性能規定の考え方]
○必要な技術的知見が得られたものについて、順次性能規定を図りうるよう、建築基準体系の枠組みを見直すものとする。具体的には、おおむね以下のように規定するものとする。
 @性能項目の明示(法律)
 A性能項目について要求される性能基準を明確化(政令)
 B性能基準を満たすことを確認するための検証方法を規定(告示)
○従来の仕様規定は、当然に性能基準を満たすものとして位置付け。

右 性能規定化に対応した新たな手続制度の整備

 現行制度では、建築物が建築基準に適合するかどうかは個別の建築確認において建築主事が審査することとされているが、特定の構造方法等が必要とされる性能を満たしていると予め建設大臣が認定した場合には、建築主事又は指定確認機関の個別の審査を不要とし、性能規定化された建築基準の円滑な運用を図ることとする。

@適合認定
 特定の構造方法等が一定の建築基準に適合することを予め建設大臣が認定した場合は、当該構造方法等に従った設計については、建築主事又は指定確認機関が個別の建築確認において審査しなくてもよいこととする。
(例)エレベーター・防火戸のように同一の形式で量産される建築設備

A指定認定機関等による適合認定の実施
 建設大臣は、高度な技術審査能力と公正中立な審査体制を有する国内及び外国の機関に適合認定を行わせることができる。

右 土地の有効利用に資する合理的な建築規制手法の導入

 一建築物一敷地を原則とする建築規制について、土地の集約的利用による合理的な建築設計を可能にし、土地の有効利用に資するため、隣接建築物との設計調整のもと、複数敷地について一体的に規制を適用する特例制度を創設すること等により、規制の合理化を図る。

[参考データ]
○小規模個人宅地(100F未満)の所有者数の割合(東京都区部)
  昭和50年:40.2% マ平成8年:44.3%(21年間で4.1ポイント増加)

○敷地に接している道路の状況別住宅戸数割合(東京都区部)
  平成5年  6m未満  67.2%

@連担建築物設計制度(仮称)の創設
 一団の土地の区域内において既存建築物を含めて一体的な観点から建築物を建築する場合には、建築規制の適用の合理化を図るため、複数建築物が同一敷地内にあるものとみなして、容積率制限、日影規制等を適用する。

A集団規定に係る適用除外規定の見直し
 接道義務について、基準を明確化した上で、許可による適用除外制度を創設する。(現行法では敷地が4m以上の幅員を有する道路に2m以上接することを原則としているが、これを満たさない場合であっても、許可により建築を可能とするもの。)

右 規制の実効性の確保

[参考データ]
○阪神淡路大震災における死者、6,425人のうち、建築物の倒壊によるもの:約8割

@中間検査制度の導入
 建築主は、特定行政庁が指定する建築工事の工程ごとに、特定行政庁が指定する事項について、建築主事又は指定確認機関による中間検査を受けなければならないものとする。

A設計変更の場合の建築確認手続きの整備
 建築確認後に設計を変更した場合の建築確認手続きを整備するものとする。

B台帳整備及び図書の閲覧制度の充実
 特定行政庁による台帳整備を義務化するとともに、台帳記載事項のうち検査の実施状況等について閲覧ができるものとする。

新たな建築確認・検査手続きの流れ

 <現行><改正後>
 >建築計画の作成建築計画の作成
建築確認建築主事指定確認機関  報告  建築主事
 建築着工建築着工
中間検査 指定確認機関  報告  建築主事
特定行政庁が指定する工程について検査
完了検査建築主事指定確認機関  報告  建築主事
 使用開始使用開始

新たな建築基準の体系
    
性能項目(例)耐火性能
      性能規定 ・防火性能 ・避難安全性能
           ・地震などに対する安全性能等
政令性能基準(例)柱、はり等の主要構造物が予想される火災時の炎・火熱に火災が終了するまで耐えること
政令・告示検証方法(例)耐火設計法(火災の性状を予測し、主要構造部が耐力を保持できること等を確認する方法)
例示仕様(例)主要構造部が鉄筋コンクリート造であるもの

<性能規定の導入による効果>

・耐火設計法の導入により、大規模木造ドーム等の建築が容易になる。
・新しい構造計算の方法の導入により、免震構造建築物等の建築が容易になる。



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